【Googleの自然言語化が進んでいる】と、近年じわじわ感じています。
例えば、「スポーツ 練習方法」という検索ワードが「スポーツが上手くなるには」に、
例えば、「スマートスピーカー 機能」という検索ワードが「スマートスピーカーでできること」に。
もちろん、分野ごとに程度の差はあるかと思いますが、事実、サーチコンソールの検索キーワードへ「明らかに単語群ではない自然な短文」がまぎれ込むようになってきています。
【Googleが自然な文章を理解できるようになる】というのは性能的な話ですので、いつか将来的に(それが難しいとされる日本語であっても)達成されるだろうことは想像できます。しかし、【今もうすでに動きがあるのでは?】と考えられる要素が、サーチコンソールの検索キーワードの結果以外にも存在するのです。
今回は「PAA」と「スマートスピーカー」から、Googleの動きやコンテンツ作成のこれからについて考えてみます。
PAAから考えるGoogleの自然言語化
PAAとは、People Also Ask(他の方はこちらも質問しています)という関連検索の機能です。Google検索結果ページ上に、質問と回答ベースの内容で表示されます。
参考:
https://www.suzukikenichi.com/blog/people-also-ask-added-dynamically/
現在、アメリカや欧州などのGoogleで実装済み。テキストだけでなく、動画や強調スニペットでの回答も存在するようです。PAAが実際に検索結果に影響を及ぼしているため、海外のSEO担当者様が注目しているとのこと。
参考:
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/12/16/34842
日本ではまだ未実装ですが、FAQ構造化データ追加済みのページと、検索結果の見え方が似ていますね。
PAAもFAQ構造化データも、「自然な質問文」として検索結果に出ることになります。それが「よりユーザの助けになる、ユーザが求める」とGoogleが考えている、と捉えることができます。
ここで「単なる関連検索の追加機能」として認識してしまうのは、少々もったいないかもしれません。
何故ならPAAは、検索結果ページ上で「ユーザ自身も認識していなかった知りたい事」を、単語よりも高度な文脈を持つ「FAQ」の形で見せられるからです。
検索結果から見えてくるものが「単語と単語の関連性」から「文脈と文脈の関連性」になり、また、ユーザの隠された意図をもつかめるようになれば、それはコンテンツやサービスの新たなニーズ発見につながるでしょう。
スマートスピーカーから考えるGoogleの自然言語化
近年、Amazon EchoやGoogle Home、Siriなどのスマートスピーカーの名前がよく聞かれるようになりました。「Hey Siri」「OK Google」などから始まる呼びかけは、もはやおなじみですよね。
スマートスピーカーは、音楽をかけたり、物を買ったりすることの他、情報の検索が可能です。話しかける例文を見ていくと、自然な質問文の形になっていることが分かります。利用普及が進む事で、ユーザ側の検索内容が自然言語化していくと考えられます。
また、Googleは2019年10月25日、検索サービスに文章の意味を理解するAI技術を英語版から取り入れると発表しました。(将来は日本語など多言語に展開)
参考:
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51391220V21C19A0TJC000/
これまでは単語をもとにしていましたが、文章の意味を理解して検索できるようになるとの事です。
スマートスピーカーやAIアシスタントの利用普及、そしてAI自身の言語理解能力向上。それぞれが進んでいくことにより、今後WEB検索は「辞書を引くようなイメージ」から、より「対話に近い形」になっていくのではないでしょうか。 コンテンツ作成をする側としても、その対話や質問に近い形を意識していくようになるというのは、自然な流れではないでしょうか?
Googleの動きとコンテンツ作成のこれから
『Googleの言語理解能力が高まり、より自然な文から検索できるようになるならば、これからは「キーワード」ではなく「テキスト」や「コンテクスト」で引掛けていくようになるだろう』
『自然な文章の質問の問いと回答、様々な位置やフォーマットでの表示など、PAAはユーザの興味をより惹きつけるだろうから、今から対策するべきだ』
素直に考えるならば、これも一つの正解です。しかし、それだけではないように思います。
Google側の意図も含めて、もっと話を発展させて考えるとどうでしょうか?ここで一つ、仮説を立ててみようかと思います。
今後のコンテンツは、ユーザの「意図」や「ニーズ」を設定することだけでなく、
「引き出す」、もっと言えば「作り出す」ことも必要になってくるのではないでしょうか?
PAAは、文脈を持った「問い+回答」を動的に表示していき、ユーザ自身気づいていなかった「潜在的な知りたいことやニーズ」を浮かび上がらせます。
「解」であるコンテンツやサービスではなく、その「問い」の発見体験こそが、「新たな価値」になると考えられませんか?
究極を言えば、GoogleやAIアシスタントが良質な「疑問や知りたいこと自体」を提供してくれるようになるとしたら、ユーザが自主的に検索する必要すら、なくなってしまうかも…?
私たちコンテンツ・サービス提供側は、どういう未来が待っているにしろ、ユーザが必要とするものを提供し続けていく必要があります。
けれどそれは、検索機能やAIの性能向上だけを追っていては、難しくなっていくだろうと思うのです。
提供者としてアンテナを張り、ユーザとして評価することを意識して、引き続き動向を追っていきたいと思います。