WEBサイト施策の精度を高めるためには、「クリティカルシンキング」が有効です。
今回は、WEBサイト施策におけるクリティカルシンキングについて、いくつか例を挙げながらご紹介したいと思います。
クリティカルシンキングとは?
クリティカルシンキングとは、
物事の判断をする際、客観的に「なぜ?」や「本当に正しいか?」を何度も問うことで、精度の高い結論を導く考え方です。
日本語訳すると「批判的思考」となり、なんだか攻撃的なイメージになってしまいますが…
- 問題解決や判断など、目的を明確にして考える
- 思考の癖や思い込み、感情に左右されることを自覚する
- 様々な角度から深く検証し、本質を追い求める
といった姿勢で自省し深く深く探究していく、ポジティブな思考方法になります。
WEBサイト施策にクリティカルシンキングは必要?
WEBサイト作成・運営に携わる人々は、日々「これが効くんじゃないか?」という仮説を立て、反映し、結果を見てまた仮説を立てる、というサイクルを繰り返し続けています。
- コンバージョンを増やしたい、ブランドを認知してもらいたい、などの「問題解決」や「目的」のために施策を打つことがまず前提にある
- 案件状況が1つ1つ異なるため、事例を参考にする(あるいは比較検討する)ことが難しく、「思考の癖」や「思い込み」など、考えがパターン化しやすい
- 日々新しくなる技術やサービス、多様化する情報や顧客、運営について、「様々な角度から深く検証」する必要がある
このように、前述したクリティカルシンキングの姿勢は、WEB施策を考える際に自ずと必要になるのです。
ありがちな思考の落とし穴
WEBサイト施策で陥りやすい思考と、クリティカルシンキングで見つかる問題点の例を、いくつか具体的に見てみましょう。
サイト滞在時間が長いと良いサイト?
ユーザの滞在時間、あるいは閲覧したページ数が多くなると、「情報を求めるユーザも多くなった」「より訴求できる」など、良しとする考え方があります。
ですが、裏を返せば「必要な情報に最短距離でたどり着けていない」「ユーザの目的やコンバージョンまでに迷いや障害がある」とも考えられます。
SEOを頑張ればコンバージョンが増える?
WEBサイト作成・運営をする上で、能動的に情報を求める優秀なオーガニックユーザを増やすことは(今更言うまでもなく)非常に重要です。
しかし、「流入したサイトが分かりづらく、コンバージョンに辿り着けない」「求める情報が得られず(検索キーワードとサイト内容が合致せず)離脱してしまう」可能性は無いでしょうか?
今、最も必要な施策は、SEO対策なのでしょうか。
メルマガで好評だったキャンペーンが…
サイト会員向けに打ったメルマガキャンペーンが好評だったため、急遽外部広告からもランディングページへ流入させることに…という流れはよくある話です。
「ブランド理解の深いサイト会員」と、「初めてそのブランドを広告内容だけで知るユーザ」では、その行動に差があるかもしれません。
このページを閲覧したユーザはコンバージョンする!
Googleアナリティクスで調査した所、あるページを閲覧(通過)しているユーザのコンバージョン率が高いことが分かりました。
しかし、「このページのコンテンツを確度の高いユーザが求めている」のか「確度の高いユーザがより回遊している」のかは、実際に施策を打つまで分かりません。
どうやってクリティカルシンキングする?
クリティカルシンキングでは、「間違った議論や推論、論理展開を避ける」ことが必要だと言われています。
具体的な内容については、下記Wikipediaや書籍などをご参照ください。
間違った議論を回避するための批判的思考
私個人のやり方としては、物事を考える上でこちらに気を付けています。
- 問題や前提、既存の仮説や施策などを要素ごとに分解し、不足や例外、思い込みが無いかどうか確認する
- 5W1Hを意識して、考えられる他の可能性が無いかどうか確認する
検証フロー例
たとえ思考する時間が無くても
WEBサイト作成・運営は、作業がついてまわる仕事ゆえに、思考に割ける時間は限られてしまいます。
ですが、作業の合間でふと「何かひっかかる、うまくいかない、もやもやする」と感じる瞬間があるかと思います。
その際、考えることをやめてしまうのではなく、「これでいいんだろうか」と今少し、顧みてください。あるいは、気になった箇所を書き出して覚えておいて、他の人に共有してみてください。そうすることで、大きく時間を取らずとも、少しずつ問題点の発見・見直しがされていくでしょう。